Story(Los Santos再び編)

トレノの最後の依頼


マイク・トレノ

マッド・ドッグ邸では、ポールの働きにより、順調にレコーディングが進んでいた。しかし、突然機材がシャットダウンし、どこからともなく男の声が聞こえてくる。声の主はトレノだった。最後の仕事をしてもらいたいというトレノは、既にマッド・ドッグ邸のガレージまで来ていた。車で移動中に説明された任務内容は、空母から戦闘機を盗み出し、それを用いて敵のスパイ船を破壊するという耳を疑う内容だった。スウィートを実質的に人質として取られているCJは、拒否できるはずもなく依頼を受ける。

トレノが用意したボートを操縦し、空母内に侵入する。見張りの兵士の隙を突き、地対空ミサイルを無効化し、戦闘機の奪取に成功する。追跡してきた戦闘機を迎撃するとともに、目的のスパイ船も破壊する。あまりの手際の見事さに、トレノはCJを二重スパイだと疑うほどだった。手元に残ったVTOL戦闘機については、トレノは関知しないというので、CJが頂戴することになる(Vertical Bird)。

スウィートとグローブストリート


スウィート

レコーディングスタジオにトレノが現れる。トレノが最後の最後に頼みたいことがあるとのたまうと、いい加減にしろとCJは銃を向ける。トレノは落ち着いてCJの銃を下ろさせると、ちょうど掛かってきた電話を取らせる。電話の相手はスウィートだった。スウィートは、どういうわけか釈放されたので警察署に迎えに来てほしいと話す。トレノは、頼みたかったことはこれだと言うと、CJを送り出す。

警察署の前でCJが待っていると、大きなカバンを持ったスウィートが出てくる。二人はハグを交わすと、CJは各地での奮闘ぶりを誇らしげに語る。その様子を見てスウィートは激高する。お前は現実から逃げているだけだ、俺はシマに戻る、と。対してCJは、シマは腐っている、シマを出たからうまくいったのだと反論する。見てみればわかるというと、二人の乗った車はグローブストリートに向かう。

二人が目にしたものは、見る影もなく腐敗したグローブストリートの姿だった。CJの実家には堂々と泥棒が入り、ストリートのメンバーにヤクを売りさばくバラスの売人たち……。CJ達は一致協力して、売人を始末するとともに、ストリートにのさばっていたバラスの連中を全員追い出す(Home Coming)。

ストリートの汚染ぶりを目の当たりにしたスウィートは意気消沈し、自身もヤクで破滅するしかないなどと言い始める。CJは、薬物に断固反対の意思を示す。ストリートが腐敗した原因の一端である、古参メンバーのBダップ(Mark "B-Dup" Wayne)に話をつけに行くことになる。近所にあるBダップの住居を訪問するが、彼はストリートを捨てグレンパークそばの豪邸に引っ越していた。CJ達は、パーク付近の他ギャングを一掃すると、豪邸内に駆け込む。Bダップは(ボスの)スモークに脅されてやっただけだ、スモークは狂っていると弁明する。Bダップはスウィートの腕を振りほどくと、ヤクで洗脳済のビッグ・ベア(Barry "Big Bear" Thorne)に命令し、CJ達を排除しようとする。しかし、CJ達の目を見たベアは洗脳が解け、逆にBダップを殴り倒す。スモークはベアを厚生施設に連れていく(Beat Down on B Dup)。

別の日、スウィートが自宅に集めたファミリーの仲間を奮い立たせていた。CJが昔に戻ったようだなというと、スウィートは異を唱える。俺とお前で本腰を入れなければだめ、あの豪邸(マッド・ドッグ邸)に住んでいたって中途半端なことしかできないと憤る。CJはわかったというと、スウィートと共にアイドルウッドのバラスのシマに殴り込みをかけ、シマを奪い取る(Grove 4 Life)。

ライムブックの持ち主


OGロック

マッド・ドッグ邸のレコーディングスタジオに、たまたまOGロックのMVが流れる。それを見たマッド・ドッグは、ラップの内容が自分から盗まれたものであると気づく。CJは、それならOGロックに挨拶しに行こうと提案し、ビデオの撮影現場に向かう。マッド・ドッグの姿を見たOGロックは血相を変え、小型ホバークラフトで逃走する。CJ達もホバークラフトで追跡する。途中からはゴーカートでの追いかけっことなるが、OGはついに観念し、ライムブックは無事にマッド・ドッグの元に戻る。そこにいたレコード会社の関係者にも「ニセモノ」だとバレてしまい、OGの未来は閉ざされる(Cut Throat Business)。

汚職と暴動


テンペニー

マッド・ドッグ邸のトレーニングルームでテレビニュースを見るCJたち。ニュースは、プラスキーとテンペニーが収賄、麻薬所持、強姦などの容疑に問われたことを伝える。さらには、ラルフ・ペンデルベリー(Ralph Pendelbury)巡査の殺害容疑(※)も浮上する。巡査は不正を証言する直前に死亡していた。

(※:ストーリー冒頭で、CJが濡れ衣を着せられた警官殺害事件)

ニュースは、事件の続報を伝える。テンペニーらは、証拠不十分のため不起訴となってしまう。この結果に、そこにいた皆が激高し、頭を抱える。続けてテレビは、ロスサントスの情勢が憂慮されると伝える。スウィートは俺のシマは大丈夫だと力むが、街が騒がしくなっていることに気づく。ロスサントスで暴動が始まってしまった。CJとスウィートはいてもたってもいられず、グローブストリートに急行する。車中でCJ達は、テンペニーに鉄槌を下す決意を固める(Riot)。

フラグを乗り越えて


シーザー・ヴィアルパンド

CJは、スウィートが収監されている間に奮闘したことを語るが、スウィートはそれを認めない。さらには、CJが5年間ストリートを離れて自由に生活していたことを蒸し返す。そこに、息を切らしたシーザーが飛び込んでくる。彼のシマがピンチなのだという。CJは、手伝いたいが自分のシマがと助力を辞退しようとするが、スウィートの了承が得られたため作戦に参加する。CJ達はストリートの仲間を数人引き連れユニティ駅に向かう。移動中の車中で、シーザーはケンドルへのプロポーズを考えていることを告白する。スウィートはおそらく反対するであろうことを見越して、CJへの根回しをするシーザーだった。CJは快諾する。

駅でシーザーの仲間と合流し、バゴスらが実質的に支配しているエリアに向かう。号砲一発、戦いが始まる。CJ達は激しい銃撃戦を乗り越え、バゴスをシマから追い出す戦いに勝利する(Los Desperados)。

スウィートから電話がある。スモークの居場所はいずれ突き止められるだろうが、奴に近づくにはバラスやバゴスの力が強すぎるという。CJ達は街を十分に掌握してから先に進むことを決意する。

終わりと始まり

グローブストリート・ファミリーズの存在感が強まってきたころ、スウィートから連絡がある。バゴスの連中がついにスモークの居場所を白状したというのだ。

スモークと決着をつける時が来る。CJとスウィートは車に乗り、東ロスサントスに向かう。スモークが潜伏している要塞の前に到着すると、CJは自分だけで行かせてくれと要求する。彼は、5年前にストリートを捨てたこと、弟や母が死んだことに対する罪悪感を痛感していた。スウィートはCJの心意気を尊重し、いつでも手を貸すと伝えてCJを見送る。

要塞の入口は厳重に防護されており、簡単には突入できそうもなかった。CJは、暴動の鎮圧を行っている警察の装甲車を奪い、その車を激突させて壁を破壊する。要塞の中ではバラスの激しい抵抗を受けるが、スモークがいるとされる四階を目指して突き進む。

四階の最奥部に、テレビゲームに興じるスモークがいた。来るのはわかっていた、テンペニーも奴の部下も全員クソだとスモーク。お前(CJ)は成功したし、俺もトップに上り詰めた。だがもうどうでもいい、すべてクソだと自暴自棄になる。

銃撃戦が始まる。スモークは防弾チョッキを着こんでいたが、運動不足のためかCJの銃撃を受けて重傷を負い、壁にもたれかかる。裏切りの理由をCJが訪ねる。スモークは、金と力が欲しかった、ビッグ・スモークという名を世に残したかったと言い残して事切れる。

「馬鹿なことを」と嘆くCJの背後に、テンペニーが現れる。銃を捨ててカバンにカネを詰めろと命令する。CJは言われたとおりにすると、お前は仲間もいない孤独な男だとつぶやく。対してテンペニーは、新しい部下なら既に用意している、カネを持って高跳びする計画だと言い放つ。最後にCJを銃殺しようとするが、CJの咄嗟の機転で銃弾は外れる。テンペニーは、これで終わりではないというと、要塞に火を放って立ち去る。

要塞内は火災に加えて停電となるが、暗視ゴーグルを見つけたCJは出口を目指す。バラスの残党からの攻撃と崩落の危険の中、CJは間一髪で脱出に成功する。

テンペニーは消防車で逃走を図る。それを発見したスウィートは、消防車のハシゴに飛びついてしまう。CJはそこにあった車に飛び乗り、スウィートを追跡する。スウィートをぶら下げたまま消防車は暴走を続ける。スウィートの握力が限界に達して転落するが、見事にCJの車が受け止める。運転手をスウィートに交代すると、パトカーやギャングによる追跡まで始まる。CJ達は追手を蹴散らしながら、消防車の追跡を続ける。CJの執拗な銃撃により制御不能となった消防車は、橋の欄干を突き破って転落する。転落した先は、奇しくもグローブストリートだった。

重傷を負いながら消防車から這い出るテンペニー。「負傷した警官がいる」というセリフも白々しい。俺の苦労なんて分かりはしない、クズを始末しただけだと吐き捨てる。

ジョンソン兄弟、ケンドル、シーザーがテンペニーに歩み寄る。とどめを刺すこともなくテンペニーは息絶える。奴は自分で死んだのだとスモーク。ふらっと現れたトゥルースは、体制に勝利したCJ達を賞賛する。食事にでも行こうとシーザーが言うと、皆で歩き始める。CJはテンペニーの死体を仰向けにすると、「あばよ、お巡りさん」と言い残し、立ち去る。

後日、マッド・ドッグがゴールドディスクを受賞した吉報を受け、皆で祝福する(End of the Line)。

Grand Theft Auto: San Andreas - 完 -